日本と中国の定年退職の違い

はい、どうもみなさんこんにちは!

TCDのちょーです。

 

本日は、日本と中国の定年退職の違いについてです。

 

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数多くの企業が取り入れている「定年退職」の制度。就業規則などで定められた年齢を超えると、自動的に雇用契約が解除となる制度です。この制度を取り入れるには、就業規則を設けるなどのルールに従わなくてはいけません。

 

日本での年齢は60歳が一般的でしたが2013年に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」が改正されたことで再雇用または年齢を引き上げることが義務付けられました。現在では、定年退職の年齢を65歳に設定している企業は約16.1%だそうです。

 

 

 

中国での定年退職の年齢は男性60歳、女性50歳、幹部クラスの女性は55歳です。

なお、中国における定年退職年齢は日本のような、「就業規則に定めれば年齢を理由に退職させることができる年齢」ではなく、「退職させなければならない年齢」と考えられています(明確な条文はありませんが、中国での学説では一貫して、このような解釈が支持されています)。これは、中国国民全員が定められた時間働き、定められた年齢には退職するという計画経済期の思想が未だ残存しているためと思われます。


法の下の平等
しかし、今の中国で50歳以上の女性が働くことができないということは実態に合っていません。多くの企業は「幹部クラスの女性」の定義が法律上されていないのをいいことに、50代の女性を係長クラスにして、「幹部」ということで女性の定年を55歳まで事実上引き延ばしているのではないでしょうか。



ところで、この中国の定年年齢は、中国憲法第33条第2項の「法の下の平等」に反するのではないかという議論が多くの学者からなされてきました。しかし、今まで中国の定年退職の年齢が改正されることはありませんでした。

もっとも、中国の「法の下の平等」は、「法適用の平等」のみを指し、「法内容の平等」は含まないとされています。つまり、「関于企業職工“法定退休年齢”涵義的復函」(中国の定年退職に関する法律)を男女に平等に適用した結果、定年年齢に差が出たというだけで、中国での「法の下の平等」に反するとは言えません。残念ながら中国には、中国の政府解釈を分かっていないと思われる意見が多くあります……。


定年制度の改正へ
さて、そんな中国の定年退職に関する年齢ですが、ついに改正される動きが見られました。

中国社会科学院人口与労働経済研究所がした政策提言によれば、女性のうちの幹部と幹部以外の差をなくし2017年には女性の定年退職年齢は全て55歳とし、2018年から女性の定年退職年齢は3年毎に1歳繰り上げ、男性の定年退職年齢は6年毎に1歳繰り上げ、2045年には男女とも65歳定年にするべきとしています。

さらに、定年年齢前の退職、定年年齢後の退職など弾力的な制度の導入も採用すべきとしています。

まだ中国社会科学院が政策提言しただけで、不確定要素が多分にありますが、法理論上は50歳以上の女性(現場の多くは55歳)を「働かすことができない」制度である以上、気にしておきたい報道です。

なお、今回の中国社会科学院の政策提言の理由には、「男女平等」の視点は全くなく、単に「高齢社会で老人数が増えているため」としています。

 

 

おわり。